セオリーを破って、本のテーマを統合する話
2019/08/08
こんにちは、保護ねこ9匹と暮らす出版コンサルタントの、樺木宏です。
さて、今回は少しマニアックな、商業出版のノウハウのお話を。
一般に、本のテーマは細かく分けるべき、と言われています。
例えば健康本の中でも、ダイエットの本、
その中でも、運動によるダイエットなのか、食事によるダイエットなのか、
といった分け方ですね。
これらが混ざってしまうと、書店での競争力が落ちてしまうので、あまり売れないとされています。
だから、著者によほどの販売力がない限りは、本のテーマは細かく分かれているのです。
が、しかし。
それはその通りなのですが、
新人著者からしてみれば、ちょっと話は違います。
というのも、テーマを細かく分けてしまうと、
それぞれのテーマにはベテランのライバル達が大勢いますから、
なかなか競争に勝てなくなってしまうのです。
出版社からしてみれば、別の人に頼めばいいだけの話なのですが、
私のようなスタンスで著者さんを応援していると、事情は違います。
むしろ、様々な要素を組み合わせることで、
強みが活きてくるタイプの著者さんだっていますから、
そうした強みは活かしたいのです。
そこで私は新人著者さんには、
統合する、つまり、
「いくつかのテーマを組み合わせた企画」
を提案をすることがあります。
いくつかのテーマを、横断して1つの本に入れ込んでしまうのです。
考えてみれば、これまで長い間、本のテーマにかぎらず、学問の分野や、仕事の分野なども、
細かく分業されてきました。
しかし実際の世の中は複雑系ですから、1つのテーマだけでスッキリ解決できることなど、むしろ少数。
だったら、最初から統合してしまうのもありでしょう。
また、それぞれの分業をあとでくっつけたほうが、
相乗効果でずっと大きい学びになるのであれば、分ける意味もあります。
しかし、そのようなケースも、むしろ少数派。
一人の中に、さまざまなノウハウがあることで、むしろ素晴らしいアイデアが生まれるのが今の時代。
だったら、出版のテーマも、セオリーを破って、統合してしまうのもありだと、私は思うのです。
なお、商業出版に限らず、最近は学問の世界でも、
「統合」
が進んでいるそうです。
たとえば、心理学。
より具体的な分野である認知脳科学と組み合わさったり、
逆に、より抽象的な分野である、文化心理学と組み合わせた研究なども、
盛んなのだとか。
このように、科学の分野でも、統合して分野をまたがることで、
新しいアイデアや成果がどんどん生まれているのですね。
ちなみに、かくいう私も、はじめて自分の本を書いた時は、この方法を使いました。
ねこと心理学を組み合わせつつ、より具体的な脳科学、そしてより抽象的な社会心理学も
組み合わせてできたのが、「幸せねこ」という本でした。
科学の素人で新人著者が書いた本でありながら、ベストセラーになったのには、
こうした考え方があったのですね。
いかがでしょうか?
商業出版にセオリーはありますが、それはあくまでセオリー。
あなたならではの強みを自由に発揮し、
素晴らしいコンテンツを世に送り出してくださいね。