本当は危ない、"今売れている本"
2020/02/06
こんにちは、保護ねこ9匹と暮らす出版コンサルタントの樺木宏です。
はじめて本を出す人でも、何冊目かの本を出そうという人でも、
気になるのは「今売れているのはどんな本か?」ですよね。
会話でもよく話題になりますし、ランキングはよくチェックしている、
という人も多いと思います。
ただ、出版社の側はそれでよいのですが、著者の側は注意が必要です。
なぜなら、「今、売れる本」ばかりを出し続けていると、
ブームが去った時に何も残らないからです。
その時々では企画も通るし、本も定期的に出せているので一見よさそうですが、
常に流行を追いかけることになってしまい、それを止めたときが著者としての終点になります。
また、出した本のラインナップに一貫性がなかったり、主張や哲学が感じられないなど、
著者ブランディングとしてはマイナスになりがちでもあります。
「このテーマならぜひ先生に書いていただきたいと思い、ご連絡差し上げました」
というような声が出版社からかかることもないでしょうし、読者ファンも同様でしょう。
本を出し続けた積み重ねによって生まれるものがないというのは、寂しいものです。
たとえば2010年頃ですと、ビジネス書が一種のバブルのような時期だったので、
「今、売れている本」にあやかって著者デビューした人が大勢いました。
SNSブームでもありましたので、Facebookコンサルタントと名乗って本を出したり、
あるいはビジネス交流会も多かったので名刺コンサルタトの本もけっこうありました。
しかしブームが去った今、どうなったでしょうか?
もうそのテーマでは本を出せていませんし、出版自体が出来ない人も多いでしょう。
中長期でじわじわ好影響が効いてきた、という人も少ないでしょうし、
本を出して積み上げてきたものが今の知的財産になっている、という人は皆無かもしれません。
このように、「今、売れている本を参考にする」という当たり前のことでも、
出版社と著者では立場が違うもの。
出版ノウハウにこうした2面性はよくありますから、注意したいところです。
せっかく著者として、商業出版で世に本を送り出したのですから、
中長期で好影響があり、積み上げたものからリターンが得られる。
そんな出版をして欲しいと思います。
ご参考になれば幸いです。