売れる本は"引き算"でできている
2020/03/05
こんにちは、保護ねこ9匹と暮らす出版コンサルタントの樺木宏です。
さて、多くのひとは本を出そうとすると、
「盛る」
傾向があります。
例えば出版企画書では、
いかに良い内容かをできるだけ多く伝え、
プロフィールでは自分に権威があることを示そうと経歴を並べ、
読者がいかに幅広いかをアピールしがちです。
言い換えれば、できるだけ情報を詰め込もうとする、
「足し算」
で考えがち、ということですね。
これは無理もない話で、「著者」「書籍」という言葉のイメージ、
そして「出版社に企画を通す」というハードルがあるのですから、
できるだけアピールしようと、肩に力が入ってしまうのは、致し方のないことです。
だが、しかし。
そうした「足し算」は、残念ながら裏目に出ます。
なぜなら人間の脳は、
「盛れば盛るほど低く評価してしまう」
という働きがあるからです。
たとえば、このような実験がありました。
貧しい7歳の女の子を救うために、お金の寄付者を募るという実験です。
多くの参加者は、この女の子の可哀想な身の上話に同情し、寄付を約束します。
しかしそのあとで、身の上話に加えて一般的な貧困問題についての情報を伝えると、
参加者は助ける意欲が減退してしまったのです。
また別の実験では、病気の子どもを救おうという名目で、2種類の寄付を用意したそうです。
1人の子どもの病気を救うか、8人の病気の子どもを救うか、という2種類です。
結果は、8人の子どもよりも、たった1人の子どもを救う寄付の方に、
より多くのお金が集まったのです。
つまり人間の脳は、「盛れば盛るほど評価が下がってしまう」ようにできているのですね。
この逆説的な結果は、あなたが著者として商業出版で本を出すときにも、そのまま当てはまります。
「いかに良い内容かをできるだけ多く伝える」ことは、企画の評価を下げてしまいます。
「自分に権威があることを示そうと経歴を並べる」ことは、あなたの著者としての評価を下げてしまいます。
「読者がいかに幅広いかをアピールする」ことは、逆に読者を減らしてしまうのです。
一生懸命やればやるほど、むしろ評価が下がって本が出しにくくなる。
こんな落とし穴に落ちたくないですよね。
そうならないためにも、
「引き算」
で考えましょう。
・企画の良さを1点に絞って伝え、
・プロフィールもそれに直結したアピールにとどめ、
・読者は幅広くではなく、狭く深くアピールすることを伝える。
このように「引き算」で考えることが出来たなら、
商業出版で本を出版できる可能性は、桁違いにアップすることでしょう。
「盛りたくなったら、一歩下がってむしろ引き算」。
ご参考になれば幸いです。