好きなことを書いて著者になる、は正しいか?
2021/04/01
こんにちは、保護ねこ8匹と暮らす出版コンサルタント、樺木宏です。
「好きなことをして生きて行く」、というフレーズを耳にしたことがあると思います。
たとえば、
好きなことを仕事にする。
好きな人と付き合う。
好きなものだけを残して後は捨てる。
などですね。
「個」を尊重する時代ですから、まっとうな考え方のように思えます。
では、「好きなことを書いて著者になる」は、どうでしょうか?
私は、ちょっと難しいのでは、と考えています。
というのも、商業出版の主役は読者だからです。
お金を払って買ってくれるのも読者ですし、
貴重な時間を割いて読んでくれるのも読者。
いいかえると、著者は読者を助けるためのサポート役なのです。
そのサポート役が、主役のことをあまり考えずに、
「好きなことを書く」と、どうなるでしょうか。
ともすれば、
読者のことをあまり配慮しない本、
読者がついてこれなくても気にしない本
を生んでしまいがちなのは、想像に難くありません。
そうした心構えでつくられた本は、行間からにじみ出るように、気持ちが伝わってしまうもの。
いかに内容がよいものであっても、なにか冷たいものを感じさせてしまいます。
そうした本は、口コミでも広がりにくいですし、売る側もあまり肩入れしにくいもの。
誰かがよほど広告費を投入して力技で売らない限りは、売れない本になりがちなのですね。
そうならない為には、「逆」で行きましょう。
自分が好きなことを書くのはそこそこに、
読者が好きなことを追求して掘り下げて、書いてみる。
どうせ自分の好みは反映されるのですから、そこはほどほどでよいのです。
それよりも、読者をありありと、1人の人物が思い浮かぶくらい、リアルにイメージしましょう。
その人の為に、全力でアウトプットしたなら、必ずや温かいものが伝わります。
それは先の「逆」の好影響となって、あなたに返ってくることでしょう。
抽象的ですが、とても本質的な著者の心構え。
ご参考になれば幸いです。