商業出版の"伝わる"テクニックとは?(その3)
2018/08/23
こんにちは、保護ねこ7+3匹と暮らす出版コンサルタント、樺木宏です。
さて今回も、商業出版ならではの「伝えかた」について、お伝えしていきます。
前回までに、
「最初に結論を言う」こと。
「次に、理由を言う」こと。
について、お伝えしてきました。
聞き手は、
「これからどんな話が始まるのか」
という心の準備ができ、
「関心を引いて、スッキリしてもらう」ことがテンポよく続くので、
読み手に、心地よい経験をしてもらえるのです。
さて、ノウハウの3番目は
「事例をそえる」こと。
つまり、「例えば〜」という風に、
具体的な例を一緒に見せてあげることです。
書く側、あるいは話す側にとってみれば、良く知っていることでも、
それを読む側、聞く側にしてみれば、はじめてのことだったります。
だから抽象的な結論や理由だけ言われも、まったく実感が湧かないこともしばしば。
そこで具体的で臨場感がある事例があれば、一気に実感を深めてもらえるのですね。
つまり、なぜ事例が大切かと言えば、
1つには「分かりやすいから」だということです。
もう1つの理由は、単に「面白いから」。
よほど独自で新奇なものでないかぎり、結論や理由だけでは、無味乾燥になりがちです。
それだけで読み手の関心を引くのは難しいでしょう。
いい本なのに面白くない、というのはこのあたりに原因があります。
しかし「事例」なら話は別。
身近かな話であったり、過去に経験した出来事に近かったり、
今後起こるであろう問題を前もって教えてくれる話であったり。
こうした興味深い事例があれば、読み手の興味をグッとつかむことができるのですね。
このように、いい事づくめの「事例」ですが、しかし、注意点が。
実は書き手にとって、事例はとても「面倒くさい」のです。
話の結論や理由にうまく合った事例を考えるだけでもひと手間ですが、
それが本ともなれば、数多く必要になってきます。
つい、「こんなこと書かなくても、伝わるよね」という気持ちになってしまいがち。
ここで手を抜いたばっかりに、良い内容なのに今一つ伝わらない、売れない本、
というのは数知れずあるのですね。
言い換えれば、ここでひと頑張りできるかどうかが、
単に「良い本」と「売れる本」の違い、とも言えるでしょう。
ご参考になれば幸いです。