自分の書きたいことを書くか、世の中に合わせるか?
2020/08/06
こんにちは、保護ねこ8匹と暮らす出版コンサルタントの樺木宏です。
さて、商業出版で本を書こうとすると、2パターンあることはご存知でしょうか。
1つは、自分の経験談やノウハウをもとに、自分の書きたいことを打ち出していく方法。
もう1つは、世の中が求めていることに合わせて、書く内容を決めていく方法です。
マーケティングをご存知の方でしたら、
前者はプロダクトアウト、後者はマーケットイン、
といういい方をしたほうが、わかりやすいかもしれません。
あなたはどちらの方法で、本を書こうとしているでしょうか?
どちらの方法もありなのですが、それぞれ長所と短所があります。
だから、いままでどちらかの方法で成功していたとしても、
時と場合によっては、使い分けることが大切になってくるのです。
たとえば、前者の「自分の書きたいことを書く」場合。
納得感が高い内容で、なおかつ自分のビジネスにも好影響が得られるテーマで書けるのが、
この方法のいいところです。
しかし気をつけないと、独りよがりになって「読者不在」という落とし穴に落ちがちなのも、
この方法です。
こうしたケースは、自費出版などではよく見かけますので、あなたも目にしたことがあるのではないでしょうか。
自分の書きたいことを重視するあまりに、それを読みたい人がどれくらいいるか、
その人にどんなメリットがあるのか、という視点を忘れてしまった本。
こういう企画は、よほどファンが多い例外的なケースを除いて、商業出版ではまず通ることはありませんので、
気をつけたいところです。
また、後者の「世の中が求めていることに合わせて書く」場合。
こちらの場合は、今売れている本を調べて、それと同じような内容で書く、
という方法がとられることが多いです。
今売れているという説得力があるので、読者不在になってしまうリスクは低いでしょう。
出版社にいったんは検討してもらいやすいのが、この方法です。
ただ、似たようなことは誰でも考えていますから、早い者勝ちになりますし、
世に出たときに、似たような本の中に埋もれてしまう、ということも。
また、内容も似たり寄ったりですから、
読者からみれば著者は「その他大勢の一人」となり、ブランディング上のインパクトが薄いのも、
この方法の落とし穴です。
いかがでしょうか。
商業出版で、これだけやればOK、という万能薬はありません。
あなたの手元には、長所と短所が異なる2つの方法があるのですから、
「今、どちらをつかうべきなのか」
をまず検討することが、大切なのですね。
こうした知識は、いわばコロバヌ先の杖。
落とし穴に落ちないための、ご参考になれば幸いです。