"ニュータイプな著者" の時代
2019/09/19
こんにちは、保護ねこ9匹と暮らす出版コンサルタントの、樺木宏です。
以前読んだ本でとても良かったのが、山口周さんの「ニュータイプの時代」。
これから活躍できる人と、そうでは無い人を対比して論じた本ですが、
独自の視点がとても刺激になる良書でした。
さて、その本の中で「問題は少なく、解決能力が過剰な時代」という節があります。
少し引用しましょう。
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>ビジネスは基本的に「問題の発見」と「問題の解消」を組み合わせることによって富を生み出しています。
>20世紀後半の数十年間という長いあいだ「問題を解ける人」「正解を出せる人」は労働市場で高く評価され、高水準の報酬を得ることが可能でした。
>しかしすでにメガトレンドの項目で説明した通り、このボトルネックの関係は、今日では逆転しつつあります。
>つまり「問題が希少」で「解決能力が過剰」になっているということです。
>過剰である「問題の解決」に対しては今後、これまでのような評価も報酬も与えられないということになります。
山口 周「ニュータイプの時代」より
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鋭い指摘ですね。
私はこのことは、著者についても全く同じだと考えています。
書店に行けば、読者の悩みを解決する本が溢れていますね。
同じ悩みに対して、似たような本が、ひしめいている状況です。
このような「解決能力が過剰」な状態では、著者に対しても、これまでのような評価も報酬も与えられない可能性が高いでしょう。
読者は「似たような本をもう読んだ」と買ってくれませんし、書店も置き続けてはくれません。
そうなると売れませんから、企画も通らないし、仮に通っても印税も少なくなる。
売れない本を出してしまうと、次の企画も通りにくくなるでしょう。
著者ブランディングのマイナスの悪循環ですね。
これは私のような出版プロデューサーや、出版社、編集者の側にも言えることです。
同じ問題に同じような解決方法で、ちょっと表現を変えて本にしているだけでは、
今後評価が得られないのは同じなのです。
では今後、著者や本の作り手はどうすればよいのか?
先の山口周さんによれば、
>「問題を発見し、提起できる人=ニュータイプ」こそが評価されることになります。
とのこと。
これを商業出版で言い換えれば、
「いままでに無い読者の悩みを発見し、本で解決しようとする人」
ということです。
つまり、
「今このテーマの本が売れているから、ちょっと切り口を変えて出そう」
というような著者は飽和状態なので、今後淘汰されてしまい活躍できない。
しかし、
「こんな悩みを今の人は持っているのでは?というか、私は持っているので解決法を書きたい」
というような著者は、差別化されている上にニーズもあるので、今後活躍し続けていく。
ということ。
あなたはどちらでしょうか?
変化の時代に、あなたが今後活躍しつづけるための、
ご参考になれば幸いです。