なぜあの人は、意外とつまらない本を書いてしまうのか?
2019/11/21
こんにちは、保護ねこ9匹と暮らす出版コンサルタントの、樺木宏です。
さて、あなたの身の回りにも、
「圧倒的な知識量を誇る人」
がいるのではないでしょうか。
大量のインプットと深い見識を持ち、さぞや書く本も面白いのでは・・・
と期待は高まるのですが、意外とそうでもなかったりします。
平たくいえば、
「もっと面白い話が読めると思ったのに、意外とつまらない」
ということですね。
これはなぜか?
結論から言えば、
「言いたいだけで、読者のことを考えていない」
か、
「知識だけを書いていて、感情をゆさぶる要素が少ない」
かの、いずれかである可能性が大です。
まずは前者です。
人は実は、それほど新しい斬新な知識を求めてはいません。
むしろ、ちょっと知っているくらいのほうがちょうどいいのです。
というのも、本当に脳が快楽を感じるのは、
「いままでなんとなく知っていたことが、ハッキリと分かったとき」
の方だからです。
思うに、それまであった脳の神経伝達の経路が、今までとは別の場所につながったとき、
快楽物質であるドーパミンが分泌されるように出来ているのでしょう。
逆に、知らなかったことを覚えなければならないのは、基本的にはストレスになります。
ですので、いかに知識豊富だからといって、
知識のものを書いても、それほど面白い本にはならないのですね。
むしろ、書き手が優秀で知識が斬新になればなるほど、つまらなくなるのです。
言い換えればこれが、「読み手の気持ちを想像しながら書く」ことが必要な理由でもあります。
「相手の気持ちになる」ことは、こと商業出版では道徳ではなく、ノウハウなのです。
次は後者です。
「知識だけを書いていて、感情をゆさぶる要素が少ない」
本は多く、多くの著者さんが陥っているワナです。
もちろん無味乾燥な知識が並んでいるよりも、
感情をゆさぶるエピソードやメッセージが込められていたほうが、
読み手の心に刺さるのは当然です。
例えば、「歴史の教科書」と「歴史小説」の違いを考えれば、
どちらを読みたいかは明白ですね。
しかし、頭で分かっていても、なかなかこれが難しい。
なぜなら、
「隠しておきたい」から。
だれしも自分の失敗談をわざわざ言いたくないし、、
ましてや商業出版の書籍として、
自分の名前で世に公開するなどということは避けたいのが人情です。
しかし人の心は、ポジティブなこと(成功や自慢話)よりも、
ネガティブなこと(失敗談や反省の弁)の方に強く反応するもの。
これは行動経済学でノーベル賞を受賞した、ダニエル・カーネマンの研究からも明らかになっています。
このジレンマが、
知識だけを書いていて、感情をゆさぶる要素が少ない本、
いいかえれば、ちょっとカッコつけた、でもつまらない本を生んでしまうのですね。
いかがでしょうか?
「圧倒的な知識量を誇る優秀な人が、意外とつまらない本を書いてしまうワナ」
あなたはこうした落とし穴に落ちることなく、
読者の気持ちを想像しながら、隠しておきたいことこそ書いてください。
今よりもさらに、「面白い!」と多くの読者から共感され、支持される著者になること請け合いですよ。
ご参考になれば幸いです。