出版社に"型にはめられない"ための知識武装
2020/07/09
こんにちは、保護ねこ8匹と暮らす出版コンサルタントの樺木宏です。
さて、商業出版で本を出すというと、
「出版社」「編集者」
と、一緒に仕事をすることになります。
はじめて本を出そうとする人は、
彼らのことを「プロ中のプロ」と感じることでしょう。
もちろん、その通りなのですが、
かといって盲目的に信仰してしまうことは禁物です。
というのも、
出版社や編集者は、言い方はちょっとあれですが、「著者を型にはめる」傾向があるからです。
これはどういうことかというと、
「POSデータを重視して、売れそうなテーマを先に決め、
そこに著者を当てはめようとする」
ということです。
たとえば、出版社は「ダイエット」というテーマの本を出そうと思ったら、
まず大型書店のPOSデータや、大手取次のPOSデータを検索します。
そして売れ行きのよさそうな本をピックアップし、
その傾向から、どのような本なら売れそうかを考える、
という順番が多いのです。
一方、「新刊の編集会議のときにPOSデータを参照しない」
という出版社は少なく、私が一緒に仕事をする出版社の中では1社しかありません。
よく言えば、とても論理的に考えている、と言えるでしょう。
データの裏付けがあるのですから、大きく外す可能性は低いです。
だから野球でいえば、手堅い「バント」のようなものと言えるかもしれません。
しかし逆にいえば、
どこかで見たような本が生まれてしまう可能性も高いといえます。
もしあなたの中に、ユニークで今までにない「新しい企画」を考案できる可能性があったとしても、
それが見いだされる可能性は、残念ながら低いでしょう。
打率は上がるかもしれませんが、「ホームラン」を打てる可能性もまた、低いのです。
出版社の側でいえば、それもまた1つの選択肢としてありなのですが、
著者は少々事情が違います。
同じような本を出すということは、あなたが、
「どこかで見たような本を出した人」
と、世間から見られてしまうからです。
その他大勢に埋もれがちで、抜きんでることは難しいでしょう。
あなた自身が「面白い」と感じているテーマで本を出すことも難しくなりますし、
最初にそうやって本を出すことに慣れてしまうと、他のやり方があることに気づけなくなります。
POSデータから企画を考えはじめることが「前提」になってしまい、
同じような本を出し続けてしまうことに、疑問を感じなくなってしまいがちなのです。
だから、よほど流行に敏感で、常にリサーチを続けているタイプの人を除いては、
本を出し続けることが難しくなってしまうのですね。
いかがでしょうか。
型にはめられないための、知識武装。
バントとホームランに上下はありませんが、
大事なのはあなたが両方を比べて、自分で「選択」すること。
ご参考になれば幸いです。