知らないうちにとらわれてしまう、著者ならではの"呪縛"とは?
2020/08/20
こんにちは、保護ねこ8匹と暮らす出版コンサルタントの樺木宏です。
あなたは、どんなセルフイメージを持っているでしょうか?
高い人、低い人、どちらともいえない人、さまざまだと思います。
ただ、私が10年ほどこの仕事をやってきて思うのは、
「著者と一般読者のレベル差は、相当大きい」
ということです。
その道で何年、何十年とやってきたプロであるあなたの専門知識は、
セルフイメージがどうであろうと、
知識の無い一般読者からみれば、そうとう高いところにあるのです。
しかし、ここが問題なのですが、
人間というものは、
「自分がすごいということ」に、
なかなか気づけないように出来ています。
かなり高度な専門知識でも、
「これくらい誰でも分かるだろう」
と感じてしまいがちなのです。
だから、自分のレベルで、書きたいことをそのまま書いてしまうと、
読み手はあなたと同じくらい高度な知識が無い限り、
「難しすぎてよく分からない」
ということに、なってしまうのです。
このことは、「知の呪縛」という呼び名で、
チップ・ハース氏の「アイデアのちから」という本にも書かれています。
ちょっとご紹介しましょう。
>いったん何かを知ってしまったら、それを知らない状態がどんなものか、うまく想像できなくなる。
>そうなると、自分の知識を他人と共有するのは難しい。聴き手の気持ちがわからないからだ。
>専門家というのは、ニュアンスや複雑さに魅力を感じるものだ。そこに「知の呪縛」が生じる。
>そうなると単純明快なメッセージを書くことがただの「白痴化」に思えてしまう。
いかがでしょうか?
あなた優れたプロであればあるほど、売れる本を書くのは、逆に難しくなっていくのですね。
ではどうするか?
答えはカンタンです。
「自分が気持ちよく書いたことは、読者が求めていることと違う」
と、気づいていればよいのです。
この気づきがあれば、
自分がいくら納得していても、それが売れる本になるとは限らない、と理解できます。
感情では理解しくくとも、頭でわかっているので、
知の呪縛にまともにとらわれることは減ってくるでしょう。
そして試行錯誤しながら、
「素人である読者が読みたいことを、分かりやすく書く」
ことが、できるようになっていくのですね。
優れた著者とは、
高度な知識をストレートにぶつける人ではなく、
高度な知識を、それとは気づかないほど、分かりやすく伝えることができる人。
ご参考になれば幸いです。