ライバル著者に勝つ!「類書との差別化」
2022/12/08"差別化"するためのたった1つの考え方
こんにちは。
保護ねこ8匹と暮らす出版コンサルタント、樺木宏です。
商業出版で企画を考えていくと、
必ず出てくるのが「差別化」という言葉。
なにやら堅苦しい感じもしますが、
世の中にはすでにたくさんいい本が出ている訳で、
要は、後から本を出すなら新しいメリットが必要、ということですね。
ここまではいいのですが、
こと商業出版ならではの、難しいハードルが1つあります。
それは、プロが考える新しいメリットと、
読者が考える新しいメリットは、
基本的にズレているということです。
たとえば新人著者がよく陥りがちなのは、
自分を基準にしてしまうこと。
プロは細部の違いや複雑な言い回しに魅力を感じますが、
素人にはまったく響きません。
読者の大多数は素人なので、魅力のない企画が出来上ることになります。
逆に素人は、分かりやすさや再現性の高さを求めますが、
プロからすれば、それは回りくどかったり、稚拙にみえてしまいます。
ですので読者に魅力的な企画は、書きたくないのでスルーします。
こうしたすれ違いの結果、
一生懸命企画を考えて出版社に提案しても、
いつまでも企画が通らない、ということが起こるのです。
新人著者ならまだいいのですが、
すでに何冊か本を出している人だと、
過去の成功体験があるので、こうした目線のズレに気づきにくく、
首をかしげているうちに年月が経っていく...
となりがちですから、気をつけたいもの。
あなたの著者としてのポテンシャルを活かして差別化するには、
まずは読者目線から始めましょう。
商業出版のキーパーソンは、自分ではなく読者。
ご参考になれば幸いです。
2019/08/22古いネタを新しい本に変える、たった1つのコツとは!?
こんにちは、保護ねこ9匹と暮らす出版コンサルタントの、樺木宏です。
さてあなたは、
「本を書きたいが、すでに別の著者に書かれてしまっている」
「何冊も書いてきて、もうネタが尽き気味・・・」
と感じたことはないでしょうか?
本を書くというのは、ある意味最もハードルが高い知的生産ですので、
一般にこうした悩みやつきものですよね。
かくいう私も、競争が激しいテーマで本を書きたいという人や、
何冊も本を出している著者さんのプロデュースをしていますので、
ある意味毎日悩んでいます(笑)
でも実は、ちょっとしたコツで、こうした悩みは解消できるのも事実。
だから、私は本をプロデュースし続けることができています。
それは、
「光を当てる角度を変える」
ということです。
たとえば、ビジネス書で何度も引用され、既視感がすごく多いネタといえば、
「マズローの欲求段階説」
が有名でしょう。
人の欲求には順序があり、1つづつ満たされていかないと、次の欲求は湧いてこない、
というやつですね。
そしてそれは、
「生存欲求→安全欲求→親和欲求→承認欲求→自己実現欲求」
という順番だという内容です。
あまりにも多く引用されるネタなので、
中には、
「実はこの順番は逆」とか、
「さらにもう1つ上の欲求がある」とか、
「もうこの考えは古い」
などなど、異なるバリエーションも含め、数多くのビジネス書などで引用されています。
普通なら、
「もうこのネタで本を出すのは難しそう」
と思いますよね。
でも、「光を当てる角度を変える」とどうなるか。
例えば、マズローは自己実現の理論で有名になったものの、
実は、サルの社会的支配を最初に研究したひとりでもあります。
つまり、心理学者として有名ですが、社会生物学の先駆けとなった人物でもあるのですね。
そう考えると、全く違った出版企画も見えてきます。
社会生物学は、今とても旬な「進化論」とも密接に関係していますから、
ビジネス書として、そういった方向で切り取るのもありでしょう。
あるいは、京都大学総長の山極寿一さんはゴリラの研究者として有名で、
自己啓発や人間社会に警鐘を鳴らす本を、何冊も書かれていますから、
そのようなテーマの本もありでしょう。
このように、「光を当てる角度を変える」ことで、
古いネタでも、今の時代に合った、新しい企画につなげていくことができるのですね。
ぜひあなたも、古いネタを温めて、新しいノウハウを生み出してみてください。
ご参考になれば幸いです。
2019/08/08セオリーを破って、本のテーマを統合する話
こんにちは、保護ねこ9匹と暮らす出版コンサルタントの、樺木宏です。
さて、今回は少しマニアックな、商業出版のノウハウのお話を。
一般に、本のテーマは細かく分けるべき、と言われています。
例えば健康本の中でも、ダイエットの本、
その中でも、運動によるダイエットなのか、食事によるダイエットなのか、
といった分け方ですね。
これらが混ざってしまうと、書店での競争力が落ちてしまうので、あまり売れないとされています。
だから、著者によほどの販売力がない限りは、本のテーマは細かく分かれているのです。
が、しかし。
それはその通りなのですが、
新人著者からしてみれば、ちょっと話は違います。
というのも、テーマを細かく分けてしまうと、
それぞれのテーマにはベテランのライバル達が大勢いますから、
なかなか競争に勝てなくなってしまうのです。
出版社からしてみれば、別の人に頼めばいいだけの話なのですが、
私のようなスタンスで著者さんを応援していると、事情は違います。
むしろ、様々な要素を組み合わせることで、
強みが活きてくるタイプの著者さんだっていますから、
そうした強みは活かしたいのです。
そこで私は新人著者さんには、
統合する、つまり、
「いくつかのテーマを組み合わせた企画」
を提案をすることがあります。
いくつかのテーマを、横断して1つの本に入れ込んでしまうのです。
考えてみれば、これまで長い間、本のテーマにかぎらず、学問の分野や、仕事の分野なども、
細かく分業されてきました。
しかし実際の世の中は複雑系ですから、1つのテーマだけでスッキリ解決できることなど、むしろ少数。
だったら、最初から統合してしまうのもありでしょう。
また、それぞれの分業をあとでくっつけたほうが、
相乗効果でずっと大きい学びになるのであれば、分ける意味もあります。
しかし、そのようなケースも、むしろ少数派。
一人の中に、さまざまなノウハウがあることで、むしろ素晴らしいアイデアが生まれるのが今の時代。
だったら、出版のテーマも、セオリーを破って、統合してしまうのもありだと、私は思うのです。
なお、商業出版に限らず、最近は学問の世界でも、
「統合」
が進んでいるそうです。
たとえば、心理学。
より具体的な分野である認知脳科学と組み合わさったり、
逆に、より抽象的な分野である、文化心理学と組み合わせた研究なども、
盛んなのだとか。
このように、科学の分野でも、統合して分野をまたがることで、
新しいアイデアや成果がどんどん生まれているのですね。
ちなみに、かくいう私も、はじめて自分の本を書いた時は、この方法を使いました。
ねこと心理学を組み合わせつつ、より具体的な脳科学、そしてより抽象的な社会心理学も
組み合わせてできたのが、「幸せねこ」という本でした。
科学の素人で新人著者が書いた本でありながら、ベストセラーになったのには、
こうした考え方があったのですね。
いかがでしょうか?
商業出版にセオリーはありますが、それはあくまでセオリー。
あなたならではの強みを自由に発揮し、
素晴らしいコンテンツを世に送り出してくださいね。
2019/04/11新しいことは、古いことの中にある!?
こんにちは、保護ねこ9匹と暮らす出版コンサルタントの、樺木宏です。
出版企画に限らず「差別化」ということばは、よく聞くと思います。
商業出版でいえば、本を出そうとすることは、
書店で、たくさんの中の山の中に置かれる、ということ。
手に取ってもらうためには、今までの本にはない、新しい読者へのメリットが必要です。
それが、出版企画の場合は「差別化」になります。
ただ、こういうとなにやら難しいですよね。
それに、さんざん優秀な人が過去に本をたくさん書いてきているわけですから、
その上で「新しいメリットを出そう」と言われても、
すぐに答えがでないのも当然です。
ではどうするか?
ノウハウは、いろいろあります。
今日はそのうちの1つをご紹介したいと思います。
それは、
「古いことを、もう一度書く」
ということです。
こういうと、
「全然、新しくないじゃないか」
というツッコミが入りそうですが、さにあらず。
じつは、コンテンツと言うのは、数十年単位で繰り返し回っていることが多いのです。
例えば、今も昔も、商業出版で売れ筋といえば、「ダイエット本」ですね。
その中でも近年は、「低糖質」がキーワードになっています。
いまや、ダイエット本のベストセラーで、低糖質を踏まえていない健康本はほとんどない、
といってもいいほどです。
でも、これも古いコンテンツだったことはご存知でしょうか?
実は、「世界で最初のダイエット本」といわれている本は、
「低糖質ダイエット」の本なのです。
イギリスのウィリアム・バンティングが1863年に書いた、
『市民に宛てた肥満についての手紙』という本は、
精製された炭水化物が太るもとなので控えるべき、という内容の本なのですね。
つまり、低糖質の本は今の流行ではありますが、最も古い本の焼き直しでもある、
ということです。
このように見ていくと、実は他のカテゴリーでも、
似たような「時代がまわって、焼き直し」の本はたくさんあります。
ベストセラー著者のなかには、意図的にそうしたテーマを狙って出している人もいます。
だからあなたも、
「古いことを、もう一度書く」
だけで、差別化できる可能性があるのです。
そのためには、自分の書きたいテーマの本は、
さかのぼって読んだり、調べていると、とても企画の参考になるのでおすすめです。
新しいことは、意外とすでにあなたが知っていることの中に、
埋もれているかもれしれませんね。
2019/01/31著者として活躍しつづけるために、見過ごされがちな"あること"とは?
こんにちは、保護ねこ9匹と暮らす出版コンサルタントの、樺木宏です。
さて、今回は「差別化」のお話です。
本を出そうとすると「耳タコ」なくらい、聞くことになるのがこの差別化という言葉。
似たような本がたくさん世に出ているわけですから、あとから新人著者として本を出す為には、
いままでの本の横に置かれても売れる理由が必要ですね。
それが、「差別化」という言葉を、これほど聞かされる理由でもあります。
ただし。
ただ「従来の本より読者メリットがある」というだけでは、十分とはいえません。
このあたりについて語っている人も本も少ないようなのですが、
それだけだと一時的に本をだせても、長く続かないのです。
なぜなら、「全ての競争優位は一時的なもの」だからです。
たとえその一時期、書店の棚で異彩を放っても、ベストセラーになっても、
あくまでそれは一時的なもの。
このことは出版に限らず、企業についても言えることで、例外はありません
だからあなたが著者として、中長期で活躍するためには、
「一時的な競争優位を連続して取り続けること」
が大事なのですね。
たとえば、「自分はこれが得意だ」という有利な差別化ポジションをすでにもっていたとしても、
そこに安住するのではなく、ユニークな切り口の企画で「攻める」ことです。
点で終わらせるのではなく、線としてユニークな企画を出し続ける。
それを全体として見たときに、著者のユニークな「差別化」が始めてできるのだと思います。
そのためにも、最初の企画から、そうした切り口を出しやすい立ち位置をとることが大事になってくるのですが、
その話はまた別の機会にゆずりましょう。
いかがでしょうか?
だれしも新人著者のころは、「人生で1冊本を出せれば十分だ」と考えますが、
やはりだれしも「もっと売れる本を書きたい」「本を出し続けたい」と思うのが、人情というもの。
最初から「長く出し続ける」ことを考えつつ、本をだしていくことで、
数年後の著者ブランドに大きな差をつけていきたいですね。
ご参考になれば幸いです。