出版社に採用される!出版企画力編
2014/02/28編集者と企画の話がはずむ!企画考案の2つのアプローチ
こんにちは、樺木宏です。
さて、本を何冊も出している人なのに、編集者と企画の話が全くかみ合わない、という人は良くいます。
何冊も出していれば企画の事も相当知っていそうなイメージがありますが、実はそうではないのです。
こういう場合、打ち合せも盛り上がらず、企画も決まらず・・・という残念なことに。
「自分の良さが分かってもらえなかった!」と言ってみても始まりません。
実は、原因は他の所にあるのです。
その原因とは、お互いに相手を知らない、という事。
著者と編集者は考え方の方向性が逆なので、コミュニケーションが図れない、という事です。
実は、出版企画には、2方向からのアプローチがあります。
1つは、自分の書きたいことからテーマを見いだす方法。
2つ目は、世の中が求めていることからテーマを見つける方法です。
普通の著者であれば、まず前者から入ると思います。
自分の専門分野で、書きたいこと、伝えたいことを主題にしていく方向ですね。
この方法の利点は、自分のノウハウや経験の範囲内で考案するので、確かな内容になりやすいこと。
また、自分のビジネスのお客さんに向けた内容にしやすいので、ビジネスとの連携が
上手く行きやすいのも良いですね。
ただデメリットとして、「ひとりよがり」になりがちです。
今どれくらい売れているテーマか、という視点が抜け落ちている企画は多いもの。
また、せっかく書けるテーマが埋まっているのに、自分の棚卸しが不十分で気づかない、
という残念なことにもなりやすいです。
一方、2つめのアプローチが「世の中が求めていることからテーマを見つける方法」です。
出版社の編集者などは、こちらの方法がメイン。
今どのような事で悩んでいる人が多いのか?
その問題解決は、どのようなやり方が主流か?
といったリサーチから、企画を考案していきます。
その傾向と対策にはいろいろな方法論がありますが、このあたりが企画力の見せ所です。
しかし、著者はこうしたアプローチを知らないか、知っていても使えない人が多いのですね。
このように、出版企画には2方向の考え方があり、その向きは逆なので、
一方しか知らないと、コミュニケーションが図れない。
だから、「自分の書きたい事を延々と語る著者」と、
「その売れる理由を全く聞けないことにイライラする編集者」という、
残念な構図が出来てしまうのです。
これらを避けるには、著者の側が「世の中が求めていることからテーマを見つける方法」を学ぶしかありません。
編集者に「自分の事をあらいざらい分かってもらって、棚卸しの上企画テーマを考案して下さい」と言ってみても無理。
それをやるには忙し過ぎますし、そういうスキルは別種のものなので、知らない編集者も多いのですね。
編集者との話が盛り上がり、せっかくのチャンスを逃さないために、
ぜひこうした「2つの方向からの企画考案スキル」を身につけたいですね。
2014/02/20商業出版とマーケティングのあいだ
こんにちは、樺木宏です。
さて、商業出版の企画をつくるということは、完全に
「マーケティング」です。
想定読者は「顧客」ですし、
自分は「自社」
そしてライバル著者は「競合他社」ですね。
なのでマーケティングを分かっている人なら、売れる出版企画がどんどんつくれるか・・・
というと、残念ながらなかなかそうは行かない事が多いです。
その理由は、
「読者のレベル感」
にあります。
これを高く考えすぎている人が実に多い。
著者のレベル感をそのまま企画に持っていってしまいがちのです。
例えば、スキルも意識も高い人が最初に作る企画には、こんな感じのが多いです。
「生き甲斐をもって働ける方法を教えます」
「充実した人生を送る方法」
なんか、カッコいいですね。そして有意義です。
でもこれは、多くの読者に刺さるでしょうか?
これは絶対に刺さりません。
もしこうした本で売れてるとすれば、それは間違いなく著者が多くのファンをもつ有名人。
ファンは日記でも買いますので、参考にはなりませんし、マネをしてはいけません。
1年間にサラリーマンが本を読む冊数は2冊以下、という説もあるくらいで、
ほとんどの一般読者は、そこまで意識が高くないものなのです。
有名なマズローの5段階欲求で言うなら、
上記の企画は、一番レベルの高い欲求である「自己実現欲求」ですが、
一般の人の悩みは、「安全欲求」「承認欲求」という、比較的低いところが一番多い。
そこで必要なのは「想定読者のレベルを下げる」こと。
例えば、
「あと10年、リストラされずに済む方法」(安全欲求)
「"お前ってこんなにできる奴だったっけ?"とアイツに言わせる本」(承認欲求)
みたいな企画なら刺さると思いませんか?
何冊も本を出し続けている著者に共通しているのは、実はここです。
著者に求められるのはものすごく優秀なノウハウや実績ではなくて、
「今の時代、多くの読者が切実に悩んでいる事をしっかり分かっている」
ことなのですね。
"自分の書きたい事を書くのではなく、世の中の多くの人の読みたいものを書く意識"
"ライバルにどう見られるかではなく、どうすればもっと読者に貢献できるか、という気持ち"
です。
ノウハウや実績があるのに、なかなか本が出せない人は、これで出版確率が劇的に上がります。
このマインドをもって、著者デビューを近づけ、何冊も出し続けて行きましょう!
2013/12/13何を書くか、あっさり決まったら危険です
こんにちは、樺木宏です。
本を書きたいと思った時にはじめにすることは、
「何を書くか?」
を決めることですね。
あたり前のことなのですが、実はここが結構むずかしいのです。
なぜかといえば、
「人は自分のことが分かりずらい生き物」だからです。
以前読んだ本によると、才能の定義とは、
「無意識に繰り返し高いパフォーマンスを発揮できること」
なのだとか。
すでに定義からして"無意識"というキーワードが入っていることから、
もともと自覚しにくい種類のものなのですね。
例えば以前、こんなことがありました。
その人は、かつてマンガ家として15年、看護師として介護にかかわること15年、
という2つの領域ですごい実績を持ったプロフェッショナル。
でも最初に書こうとしていた企画は、そのどちらとも全く関係のないものでした。
それではいくら提案しても企画は通らない、と思った私は、その企画を諦めてもらうことから支援をスタート。
その上で「マンガ×介護」というテーマで企画をつくったいったところ、
1年で3冊もの商業出版が決まりました。
この例からも分かりますが、自分の強みとは本当に気づきにくいので、
「何を書くか?」
を決めることは、実は難しいのですね。
もしここをあまり考えずに決めているとしたら、すでに
「企画が通らない落とし穴」
に落ちかけているかもしれません。
ちょっと立ち止まって、チェックしてみて下さい。
そのことが、著者デビューの期間を、グッと短縮するでしょう。
2013/12/05長く本を出し続けるためには、企画力自体が必要です
こんにちは、樺木宏です。
さて、著者デビューの支援をしていますと、
出版企画のほとんどをこちらで考える、というケースも多くあります。
しかしそういう場合でも、私は企画の考案方法、売れる切り口の作り方などを、
必ずプロセスからお伝えするようにしています。
なぜかと言うと、
「長く活躍してほしい」
からです。
プロセスではなく結果だけを得る、というのは確かに早いしラクなのですが、
それを失うのも早いのですね。
自分の強みは、自分で考えるプロセスそのものに価値があるのです。
例えば、出版では1冊出していきなりベストセラー、その後は待っていても出版社から
オファーが続々来る、という人はごく一部。
著者となっても、引き続きいくつも企画を考案し、トライ&エラーを繰り返し、
良い企画を考え続ける必要があるのです。
また仮に、1冊目の本が売れて出版社から続々オファーが来るようになっても、
長く出版し続ける為には、受ける企画を選ばなければいけません。
その時企画力が無いと、善し悪しが分からず、なんでも受けてしまいがち。
このようなことの無いように、やはり自分自身で企画力を身に付ける必要があるのですね。
もし、誰かのおかげで「結果」だけを得て、それを自分で再現することが
出来なければ、その人に依存し続けなければいけなくなってしまいます。
これは望ましくないですね。
今日のまとめです。
自分で考え、新しいコンテンツを自力で生み出す力をつけましょう。
その為にも、例え誰かの助力を得るにせよ、プロセスを重視し、ノウハウを身に付ける
姿勢が大切です。
2013/10/09優秀な人必読、このワナに落ちると企画が通りません!
こんにちは、樺木宏です。
さて、著者を目指す人というのは、大変優秀な人が多いです。
この記事をいつも読んで頂いている皆さんも、そういう方々だと思いますし、
実際私がお会いする人々も、実に優秀だと感じ入る事もしばしば。
でもそこには1つ、ワナがあります。
「盛り込みすぎ」
というワナです。
例えば、"成功法則を教える本"があったとします。
優秀なビジネスパーソンである著者からすれば、
あれも教えたい、これも伝えたい、となると、
・仕事力をアップし、
・勉強も効率的に行い、
・向上心も高い状態を保つ、
という、盛りだくさんの豪華内容の企画を立ててしまいがちです。
この企画は、盛り込み過ぎの為、通る確率は低いでしょう。
その理由は2つあります。
1つは、読者が引いてしまうこと。
普通のサラリーマンは、「これは勉強になる」と思う前に、
「仕事力を上げて、勉強も上手くやり、向上心も保たないと、成功できないのか・・・」
と思います。
そして「そんなことは自分には無理」となってしまうのですね。
こういう本は、いくら有益でも売れません。
もう1つの理由は、企画が総花的なことです。
仕事力、勉強法、自己啓発、それぞれが1冊の本として成り立つ「カテゴリー」です。
いわばこの企画は、「3つのカテゴリーが混在した企画」になってしまうのですね。
そうすると、それぞれのテーマに絞り込んだ類書には勝てません。
結果、いくら有益でも、企画が通る事はないでしょう。
例外として、知名度が高い人,ファンが多く販売力がある人は、こういう企画でも通る事があります。
でもそれは、知名度で企画の弱さをカバーしている、と言う事です。
知名度によい企画が加われば、もっと売れる本になるので、勿体ないですね。
今日のまとめです。
「盛り込みすぎ」に注意しましょう。
自分のレベルでは無く、読者のレベルで考えましょう。
それは著者として大変重要な能力ですよ。