HOME > 出版ノウハウ無料公開ブログ > 不安が消える、知識武装編

出版ノウハウ無料公開ブログ

不安が消える、知識武装編

2020/11/05自信がある人ほど著者として成功しにくい、"ある理由"とは!?

こんにちは、保護ねこ8匹と暮らす出版コンサルタント、樺木宏です。


自信。

いい言葉ですよね。

自己啓発の本や心理学の本でも、ポジティブ思考一色の感がありますから、

自信があることは無条件にいいことだ、と思っている方も多いことと思います。


ただ、こと商業出版で本を出そうとする場合は、注意も必要です。

なぜなら、

「自信がある人だけが落ちる落とし穴」

というものがあるからです。


それは何か?

「知の呪縛」です。

これはチップ・ハース、ダン・ハース著の「アイデアの力」という本に書かれている言葉なので、

下記引用しましょう。

--(以下引用)--

いったん何かを知ってしまったら、それを知らない状態がどんなものか、
うまく想像できなくなる。

(中略)

そうなると、自分の知識を他人と共有するのは難しい。
聴き手の気持ちがわからないからだ。

専門家というのは、ニュアンスや複雑さに魅力を感じるものだ。
そこに「知の呪縛」が生じる。

(中略)

そうなると単純明快なメッセージを書くことがただの「白痴化」に思えてしまう。

--(引用ここまで)--


つまり、こういうことです。

「ビジネスパーソンとして自信がある人ほど、自分の知識に自信がある。

 しかしその分、その知識が相手の役に立たないのではないか、という懸念も少ない。

 だから自信満々に、自分にとって好ましい表現で、知識を複雑なまま、伝えてしまうことが多い。

 そうなると、知識の無い読者から見れば、複雑で理解しにくい本になってしまう」

ということなのですね。


仮に、「素人にも分かりやすく」というアドバイスがあったとしても、

それはただの「白痴化」に感じられてしまうので、

アドバイスはスルーされてしまうことが多いのです。


なお、有名経営者や著名人の本は、ライターが代筆することも多いのですが、

そこには上記のような背景があります。

つまり、著者が知の呪縛に陥っていることが多いので、

分かりにくく複雑な本にならないよう、あらかじめライターに代筆を依頼し、

リスクを回避しようとしているのですね。


逆にいえば、

「専門家は知の呪縛に陥りやすい。自分もそうかもしれない」

と知っておくだけで、商業出版では、格段に有利になります。


確かな知識であるだけでなく、分かりやすい表現を工夫すること。

どんなに自信があっても、伝わりにくいかもしれないと、アドバイスに謙虚になること。


こうした得難い付加価値が、得られるからです。

それがあなたのノウハウに加われば、「鬼に金棒」。

自信がある人が謙虚になれれば、著者になることは難しくありません。


ご参考になれば幸いです。

 

2020/09/03著者とラーメン屋の、意外な共通点とは?

こんにちは、保護ねこ8匹と暮らす出版コンサルタントの樺木宏です。


さて、今回の記事のタイトル。

著者とラーメン屋の共通点とは、何でしょうか?


それは、

「実際に、現場を肌で知ることが大切」

ということです。


もしラーメン店を開こうと思ったら、

今人気のラーメン店を食べ歩いてみることが必要ですよね。

もし、

「自分は腕がいい料理人で、実績もすごいから、そんなの知る必要はない」

という人がいたなら、残念ながらその人の店は、閑古鳥が鳴いてしまう可能性が高いでしょう。


著者も同じです。

どれだけ頭がよくて、ノウハウも確かで、実績が素晴らしいとしても、

「今、自分が書こうとしているテーマは、どんな本が人気なのか?」

ここを肌感覚で知ることが、とても大切なのです。


ただ、ラーメン店と違って、著者の場合は「問題」があります。

書店で類書を読んでも、

「素人向けで、たいしたことない」

「知っている内容ばかりでつまらない」

「自分はもっと高度なことを書きたいんだ」

などと、思いがちなのです。


これは「知の呪縛」と呼ばれています。

高度な知識や経験を積むほど、自分がそうでなかった時代のことが、想像できなくなるのです。

しかし、商業出版での読者とは、悩みを解決したい、知識が乏しい普通の人。

このギャップが生まれてしまうと、

読者が求めているものを書かずに、通好みの自己満足に浸ってしまい、

売れない本になってしまうのです。


そうならない為にも、

高度な知識があればあるほど、

「現場」に足を運ばなくてはいけません。


ラーメン屋なら、ラーメンを食べに行きますが、著者なら、本屋です。

自分が本を出したとき、置かれるであろう棚を、見に行きましょう。

「実際にどんな本の隣に置かれるのか?」

「自分が書こうと思っている本は、どう見えるのか?」

このように、実際に、現場を肌で知ることが大切です。


きっと、

「思っていたよりも、ずっと分かりやすく書かなきゃいけないな」

とか、

「自分が書きたいことは、プロ向けの内容であって、素人向けではなかった」

などといった、気づきがあるはずです。


それを出版企画書に活かせば、

「鬼に金棒」

ですね。


実際に現場を肌で知り、

あなたのポテンシャルを活かし切った、素晴らしい本を世に送り出していきましょう!


ご参考になれば幸いです。

 

2020/08/20知らないうちにとらわれてしまう、著者ならではの"呪縛"とは?

こんにちは、保護ねこ8匹と暮らす出版コンサルタントの樺木宏です。


あなたは、どんなセルフイメージを持っているでしょうか?

高い人、低い人、どちらともいえない人、さまざまだと思います。


ただ、私が10年ほどこの仕事をやってきて思うのは、

「著者と一般読者のレベル差は、相当大きい」

ということです。

その道で何年、何十年とやってきたプロであるあなたの専門知識は、

セルフイメージがどうであろうと、

知識の無い一般読者からみれば、そうとう高いところにあるのです。


しかし、ここが問題なのですが、

人間というものは、

「自分がすごいということ」に、

なかなか気づけないように出来ています。

かなり高度な専門知識でも、

「これくらい誰でも分かるだろう」

と感じてしまいがちなのです。


だから、自分のレベルで、書きたいことをそのまま書いてしまうと、

読み手はあなたと同じくらい高度な知識が無い限り、

「難しすぎてよく分からない」

ということに、なってしまうのです。


このことは、「知の呪縛」という呼び名で、

チップ・ハース氏の「アイデアのちから」という本にも書かれています。

ちょっとご紹介しましょう。

>いったん何かを知ってしまったら、それを知らない状態がどんなものか、うまく想像できなくなる。

>そうなると、自分の知識を他人と共有するのは難しい。聴き手の気持ちがわからないからだ。

>専門家というのは、ニュアンスや複雑さに魅力を感じるものだ。そこに「知の呪縛」が生じる。

>そうなると単純明快なメッセージを書くことがただの「白痴化」に思えてしまう。


いかがでしょうか?

あなた優れたプロであればあるほど、売れる本を書くのは、逆に難しくなっていくのですね。


ではどうするか?

答えはカンタンです。

「自分が気持ちよく書いたことは、読者が求めていることと違う」

と、気づいていればよいのです。


この気づきがあれば、

自分がいくら納得していても、それが売れる本になるとは限らない、と理解できます。

感情では理解しくくとも、頭でわかっているので、

知の呪縛にまともにとらわれることは減ってくるでしょう。


そして試行錯誤しながら、

「素人である読者が読みたいことを、分かりやすく書く」

ことが、できるようになっていくのですね。


優れた著者とは、

高度な知識をストレートにぶつける人ではなく、

高度な知識を、それとは気づかないほど、分かりやすく伝えることができる人。


ご参考になれば幸いです。

 

2020/07/09出版社に"型にはめられない"ための知識武装

こんにちは、保護ねこ8匹と暮らす出版コンサルタントの樺木宏です。


さて、商業出版で本を出すというと、

「出版社」「編集者」

と、一緒に仕事をすることになります。

はじめて本を出そうとする人は、

彼らのことを「プロ中のプロ」と感じることでしょう。

もちろん、その通りなのですが、

かといって盲目的に信仰してしまうことは禁物です。


というのも、

出版社や編集者は、言い方はちょっとあれですが、「著者を型にはめる」傾向があるからです。


これはどういうことかというと、

「POSデータを重視して、売れそうなテーマを先に決め、

 そこに著者を当てはめようとする」

ということです。


たとえば、出版社は「ダイエット」というテーマの本を出そうと思ったら、

まず大型書店のPOSデータや、大手取次のPOSデータを検索します。

そして売れ行きのよさそうな本をピックアップし、

その傾向から、どのような本なら売れそうかを考える、

という順番が多いのです。

一方、「新刊の編集会議のときにPOSデータを参照しない」

という出版社は少なく、私が一緒に仕事をする出版社の中では1社しかありません。

よく言えば、とても論理的に考えている、と言えるでしょう。

データの裏付けがあるのですから、大きく外す可能性は低いです。

だから野球でいえば、手堅い「バント」のようなものと言えるかもしれません。


しかし逆にいえば、

どこかで見たような本が生まれてしまう可能性も高いといえます。

もしあなたの中に、ユニークで今までにない「新しい企画」を考案できる可能性があったとしても、

それが見いだされる可能性は、残念ながら低いでしょう。

打率は上がるかもしれませんが、「ホームラン」を打てる可能性もまた、低いのです。


出版社の側でいえば、それもまた1つの選択肢としてありなのですが、

著者は少々事情が違います。

同じような本を出すということは、あなたが、

「どこかで見たような本を出した人」

と、世間から見られてしまうからです。


その他大勢に埋もれがちで、抜きんでることは難しいでしょう。

あなた自身が「面白い」と感じているテーマで本を出すことも難しくなりますし、

最初にそうやって本を出すことに慣れてしまうと、他のやり方があることに気づけなくなります。

POSデータから企画を考えはじめることが「前提」になってしまい、

同じような本を出し続けてしまうことに、疑問を感じなくなってしまいがちなのです。

だから、よほど流行に敏感で、常にリサーチを続けているタイプの人を除いては、

本を出し続けることが難しくなってしまうのですね。


いかがでしょうか。

型にはめられないための、知識武装。

バントとホームランに上下はありませんが、

大事なのはあなたが両方を比べて、自分で「選択」すること。


ご参考になれば幸いです。

 

2020/06/25電子書籍と紙の商業出版、選ぶならどっち?

こんにちは、保護ねこ8匹と暮らす出版コンサルタントの樺木宏です。


さて、たまにいただく質問に、

「電子書籍を自分で出すのと、紙の商業出版、どちらを出した方がいいのか?」

というものがあります。

電子書籍元年といわれてからはや10年。

ゆるやかなペースながら、電子書籍はコミックスなどを中心に浸透し、

身近かなものになってきましたので、

気になる人も多いかもしれませんね。


結論からいえば、

「両方出す」

のが正解です。

紙の本と電子書籍、それぞれに長所があるのですから、

両方のメリットを得るのが最も望ましいのは当然です。

結論はシンプルですね。


ただし、気をつけなければいけない大事なポイントがあります。

それは、「順番」です。

ここを間違えてはいけません。

「まず紙の本で商業出版して、一定の力量をつけた上で、電子書籍を出す」

この順番でなくては、うまくいかないのです。

それはなぜか?

なぜなら、電子書籍は、

「製造・営業・広告 流通・販売を、自分でやらなくてはいけない」

からです。


紙の本で商業出版をするなら、企画さえ通れば、必要な費用は出版社が全額負担してくれます。

製造、つまり印刷費用ももちろんそれに含まれます。

他にも、書店への営業をしてくれる人も出版社の負担で行なってくれますし、

売れそうなら、出版社が広告費を負担して新聞広告などを打ってくれることもあるでしょう。

流通の面では、書籍の専門商社である取次が、全国の書店に配送してくれますし、

書店では、立地のいい場所で、書店員さんがあなたの本を販売してくれます。


このように、紙の本で商業出版をすれば、

「製造・営業・広告 流通・販売」は、全て出版業界がやってくれます。

しかも、あなたが書いた原稿に対して、執筆料として印税を支払ってくれるのです。


しかし、電子書籍を自分で出すとなると、

これらの全てがあなたの負担になります。

印刷費用はかかりませんが、コンテンツの質を高める努力、データの作成も自己負担。

自ら見込み客リストをもっていなければ、広告なども全て自分で打たなくてはいけません。

新人著者が普通に電子書籍のサイトに登録するだけでは、ほとんど本が売れることはないからです。


このように、「ほとんど全てを自分でやらなければいけない」ので、

一定の企画力、そしてマーケティング力を培っていない段階では、

電子書籍を自分で出してもほとんど売れることはありません。

売れる絶対数が少ないのですから、多少印税率が高くても、意味がないのです。

コンテンツの質を高める余地も大きいため、

「この程度の人か」と誤解を与えてしまい、

むしろ出さないほうがよかった、というケースすらあるでしょう。


ちなみに、amazonなどの電子書籍プラットフォームは、売上の30%ほどを持っていきますが、

この数字は実は、紙の商業出版で、リアル書店と流通商社である取次の取り分を合わせた額と、ほとんど同じです。

また、出版社の中には紙の本を出すと、電子書籍も「ついで」に一緒に刊行してくれるところも多いです。

このように考えくると、紙の商業出版は、

新人著者の段階では、得難い多くのメリットを肩代わりしてくれていることが分かります。

印税は電子書籍より少ないながらも、自力ではできない多くの仕事を出版業界にバックアップしてもらえます。

その対価として、印税の額が妥当かどうかを、判断しなければいけないのですね。

電子書籍を自力で出そうとするなら、

「製造・営業・広告 流通・販売」

を自分でこなせるだけの力量をつけるのが先決。

この順番を間違えないようにしましょう。

時間や労力をロスすることなく、あなたのブランディングを最短距離で高めていきましょう。


ご参考になれば幸いです。

 

PageTop